概要
普段使いのインターネットはv6プラス、サーバー周りやNASは固定IPというように住み分けしたかったけれど、環境構築に四苦八苦した。結論、
- IPv6接続をフレッツ光または光コラボで契約する。(筆者はGMO光アクセスを契約)
- 固定IPv4接続サービスを別に契約する。（筆者はGMOの固定IPv4サービスを使用）
- ルーター2台を用意してLANケーブルをいっぱいつなぐ。
以上の準備があれば環境構築できることがわかりました。
今回、コラボ光の契約もしなおしたのですが、いろいろ試すうちにドコモ光に接続した状態でも固定IPv4でアクセスができた経緯もありましたので、もしかしたら光回線は何でもいいのかもしれない…(後述)
経緯（TL;DR）
まず、自宅でメールサーバーを建てて自前のメールを作ったり、外部からNASに直接アクセスしたりしたいというモチベーションがありました。もともと(キャッシュバックに騙されて契約してなぁなぁに継続していた)ドコモ光のv6プラス環境だったのですが、この環境では使用するポートが限られています。固定IPではないですが、v6プラスではめったにIPアドレスが変わらないという噂も知っていたので、ポートにこだわりがなければこれでも十分に運用可能でした。
でも、「どうせならwell-known portsがほしい！」という欲求に負けて、こんな苦労をする羽目になりました。
ハードウェアの準備
まずは当然ながら、フレッツ光/光コラボ IPv6接続回線と固定IP接続サービスもゲットしましょう。口述しますが、もしかしたらフレッツ光/光コラボでなくても環境構築できる可能性はありますが、保証はしません。（後述）
次にIPv6接続対応ルーターと固定IP接続用のルーターを用意して下の絵のように接続します。
赤点線のケーブルについて、ぱっと見ではループを形成していそうで、かなり危険に見えますが、これがあるとかなり便利になります(後述)。ただし、ルーターの設定を間違えるとめでたくパケットがループするようになり、ネットワークが爆発してルーターの設定もできなくなるので最初は接続しないほうが吉です。
また、ルーターのIPアドレスは一例です。自由に設定していいですが、同じネットワークと認識できたほうがいろいろ便利だと思うので、サブネットマスクの設定などよくわからない人はこれからお伝えする設定を模倣すると楽だと思います。
ルーターの設定
Wi-fiの設定やポートの設定については触れません。また、Buffaloルーターのつもりで設定を紹介していきます。他社製ルーターの場合は類似の機能を探してみてください。
最初にルーターのLANケーブルを刺す面にあるツマミをいじって、Manualモード/ROUTEモードにしておきましょう。
IPv6用ルーター
まずは当然、IPv6でインターネットに接続。契約した接続方式を確認して設定しましょう。
そしてこれが一番大事、詳細設定>セキュリティ のどこかにある「PPPoEパススルー機能」を有効にします。これをすることで、固定IPv4用ルーターが要求するデータはこのルーターで処理されず、受け流すようになります。
次に、詳細設定>LAN>LAN の設定で、LAN側IPアドレスを「192.168.0.1」、サブネットマスクを「255.255.254.0」に設定します。（他社製の場合は「192.168.0.1/23」の表記でも可です。）割り当てIPアドレスは「192.168.0.2」からに設定し、割り当て数は欲張りすぎないようにしましょう。絶対に192.168.0.255 を超えないように。
以上でIPv6用ルーターの設定は終了です。お疲れさまでした。
固定IPv4用ルーター
まずは詳細設定>Internet>PPPoE の設定で「接続先の編集」をクリックし、契約した固定IPv4接続のユーザー名と接続先パスワードを入力します。接続先名称は自分の好きな半角英数を入力して何の接続なのか分かりやすくしましょう。サービス名は指定があれば入力します。
次に詳細設定>Internet>InternetでIPアドレス取得方法を「PPPoEクライアント機能を使用」にしましょう。これでひとまずインターネットにはつながるはずです。つながらなければIPv6用ルーターの設定がおかしいか、LANケーブルがつながっていないか、接続情報が間違っているかのどれかだと思います。
次に、詳細設定>LAN>LAN の設定で、LAN側IPアドレスを「192.168.1.1」、サブネットマスクを「255.255.254.0」に設定します。（他社製の場合は「192.168.1.1/23」の表記でも可です。）割り当てIPアドレスは「192.168.1.2」からに設定し、割り当て数は欲張りすぎないようにしましょう。絶対に192.168.1.255 を超えないように。
これで2台のルーターが同じネットワークに所属していると認識され、いろいろ便利になります。
そして、ハードウェア準備の段階での赤い点線の任意のケーブルをつなぐための設定を確認します。このルータで何かしらのパススルー機能が有効になっている場合、そのパケットがループし、ネットワークが爆発します。なので、設定を隅々まで確認し、すべてのパススルー機能が無効化されているか確認し、余計なオプションが有効になっていないか確認してください。
以上で固定IPv4用ルーターの設定は終了です。お疲れさまでした。
ここまでで問題なければ、一度それぞれのルーターの設定をバックアップしておいてもいいかもしれませんね。
オプションのLAN接続の利点
一見パケットがループしそうになる例のLANケーブル。ここまで来たらそのケーブルを接続してもよいでしょう。
この接続があるかないかで、利便性が高くなります。（外部から固定IPへの攻撃がIPv6用ルーターのネットワークに波及する危険性も高くなりますが…）
まず、お互いのルーターに接続された機器にLANとしてアクセスできます。IPv6用ルーターのWi-fiにつないだPCから、固定IPv4用ルーターに接続されたサーバー機器などにLANとしてアクセスできるようになるので、わざわざネットワークを乗り換えなくてもよくなります。
また、基本的にそれぞれのルーターの設定にアクセスするためには基本的にそれぞれのルーターに接続した状態でないといけませんが、この設定をすれば、どちらに接続していようが、ブラウザに「192.168.0.1」か「192.168.1.1」を入力することで、どちらのルーターの設定にもアクセスできるようになります。
さらに、非常に限定的な用途かもしれませんが、IPv6用ルーターに接続している機器で、「固定IPv4でインターネットに出かけたいなぁ…」と思った際には、接続するルーターを変えずとも、デフォルトゲートウェイをそれぞれのルーターのIPアドレスに変更すれば、接続経路を変更できるようにもなります。（ただ、この設定が若干面倒なので、Wi-fi接続であれば素直にWi-fi接続先を変えたほうが早いかも…）
ハマった点をいくつか
この環境を構築するうえで何点かハマったところがあったので備忘録。
パケットがループして設定画面にすら入れなくなる
これに非常に時間を取られました。例のループしそうなLANケーブルをつないだ瞬間にこの事件が起きていました。
「よし、これで完成！」と思ってケーブルを刺して数秒後、すべてのLANポートのランプがけたたましく点滅を続けるようになった時の絶望感といったらすごいです。
インターネットにつながらないどころか、設定画面にも入れないので、訳も分からずとりあえずルーターをリセットして設定しなおす、といったことをn回は繰り返しました。これのせいでm時間も時間を取られてしまいました。
同じ悲劇を生まないために、皆さんは固定IPv4用ルーターのパススルー機能を無効にするのを絶対に忘れないようにしましょう。
お互いのルーターのネットワークにアクセスできない
これは偏に私のネットワークやサブネットマスクの理解不足でした。
ゲートウェイのアドレス被り、DHCPサーバーが確保するIPアドレスの範囲の重複、不適切なサブネットマスクとIPアドレスの組み合わせなど、いろいろな事故が起こりました。このおかげでネットワークに関する基本的な知識がかなり身についた気がします。皆さんお気を付けください。
特定の機器だけインターネットにつながらない
地味に焦った事象。テレビやPCやAlexaはインターネットにつながるのにAndroidスマホだけつながらない…
状況からルーターやネットワークの問題でないことは明らかだったのでスマホのインターネット接続設定を見直してみました。
すると、デフォルトゲートウェイがネットワーク改造前のもののままになっており、これが原因と判明。デフォルトゲートウェイだけ変更する方法がなかった(検索するのが面倒だった)ため、Wi-fiの設定を削除し、接続しなおすことで事なきを得ました。
もしかしたら光コラボでなくても可能？
環境構築する過程で、IPv6はドコモ光につないだままで固定IPv4をGMO固定IPで設定するタイミングがあったのですが、この際、固定IPv4でもインターネットにつながって正直驚きました。
というのも、GMOの固定IPの説明には「フレッツ光回線をご利用ください」的なことが書いてあり、ドコモ光やSo-netなどの非ＮＴＴ回線ではだめなのかなぁ、と感じていたからです。
しかし、私の環境ではドコモ光の回線でも接続はできました。
ですが、たまたま接続できていただけの可能性もあり、注意事項や利用条件に違反することではありますので、安全のため光コラボで接続しなおしました。
この記事を参考に環境を作る方におかれましては、利用規約などをよくご確認の上、適用外使用は自己責任でお願いします。
今後について
この一触即発のめんどくさい環境、いずれはLinuxルーター1台でなんとかならないかなぁ… と思っています。
でも、安定性とかセキュリティとか、素人が触っていいものではないような気がして、なかなか踏み出せません。
いずれは手を出せるようになりたいなぁ………
以上。
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